プラダ ブランドについて
デザイナーの歩んできた道
現在のプラダのデザイナーは創立者、マリオ•プラダの孫娘であるミウッチャ•プラダは1949年生まれ。1913年にミラノに設立されたこのブランドを1978年に彼女の夫、パトリッツィオ•ベルテッリと共に受け継ぎ、以後、会社を拡大させてきました。
1989年よりレディースウェアを本格的にスタートさせ、1993年にはセカンドラインのミュウミュウ、1995年よりメンズライン、1998−99A/Wよりプラダスポーツラインをスタートさせ今日まで歩んできました。
ミウッチャ•プラダはミラノ大学で社会学を学び、博士号を受けました。イタリアのミラノに生まれた生粋のイタリア娘の彼女は、今なお可愛らしい面影を残したチャーミングな女性です。
ブランドの再構築にあたり、祖父の築いてきたものを真摯に受け止め、それを時代に合わせて見事にアレンジし、それが大ヒットしました。
クリエーションというものを通して服、アクセサリー、建築、写真など多岐にわたり挑戦を続けるミウッチャ•プラダは、数少ない気鋭の女性デザイナーの一人であり、その情熱的に取り組む姿は多くの女性、男性を勇気づけ、虜にしています。
世界中のセレブを魅了するその理由
プラダが世界中のセレブを魅了する理由、それは完璧なまでのミニマリズムの中に漂うエレガンスにあります。洋服であれ、小物類であれ一貫されたミウッチャ•プラダのデザイン哲学がバックボーンとなり、商品を手にするものの心をわしづかみにします。
100%自社開発のテキスタイルとシルエットの融合、それにイタリアのスーパーモダンな香りをエッセンスにした完璧なまでのハイファッション。贅沢を知りつくしたハリウッドのセレブに好まれない理由はありません。
洋服のみならず、2007年にはドルチェ&ガッバーナに続き、携帯電話、THE PRADA Phone by LGを韓国のLG Electronicsより発売しました。大々的なPRと共に米国、フランス、ドイツ、イタリアで発売されたこの電話は日本円にして一台約9万4000円。香港、タイ、シンガポールといったアジアの主要国でも次いで発売され話題となりました。
まるでアクセサリーのひとつであるかのように軽々と、プラダ好きのセレブ達はこぞってこの電話をいち早く手に入れました。そして私生活でそれらを使用する姿がパパラッチたちによって報道され、新たなトレンドを生み出したのです。お互いを高めあうセレブとプラダ。この両者は切っても切れない関係にあるのです。
独自のクリエイションの手法
かつて2005年の春夏シーズンで〝鳥〟をテーマにした画期的なコレクションがあります。あるインタビューでミウッチャプラダはこう話しています。
〝ファッションにおける新しいムードについて考えた。すなわち、この夏にふさわしい自由な感覚について〟と。
そしてこう続けています。〝オウム、クジャクそして白鳥は、美しさ、虚栄心、強さ、そして戦士を表しているのです〟と。
ワンシーズンを例にとりあげましたが、プラダのクリエーションはこのようにテーマ設定から入ります。それは既存の考えに追随するものではなく、彼女自身が世の中を見渡し、『今』伝えることができるメッセージを深く考え、それをビジュアル化し、最終的に立体の洋服にを作り上げる、というやり方です。
鳥といってもミウッチャプラダが断言するようなポジティブなイメージを持つ人もいれば、また反対に非衛生でグロテスクだとネガティブに受け止める人もいるでしょう。しかし、このインタビューの最後に『時間が経てばおのずと答えはわかる』としめくくられています。
この強さこそがプラダの哲学であり、そこから溢れ出るエネルギーとともに斬新なデザインが生み出されるのです。
プラダのクリエーションの根底にはミウッチャの深い社会洞察力と自身の直感を信じる心があるのです。それがすべてのはじまりなのです。
ファミリービジネスというメリット
コレクションの直後に殺到するマスコミ陣。その中でいつもデザイナーのミウッチャ•プラダの隣で仲睦まじそうに寄り添う人物がいます。彼の名はパトリッツィオ•ベルッテリ。ベルッテリはプラダの現オーナーであり、またミウッチャの夫でもあります。
祖父であるマリオ•プラダよりブランドを受け継ぎ、公私ともにパートナーであるベルッテリという存在と2人3脚でビジネスとクリエーションを紡ぐ姿はファッション業界において羨望のまなざしさえ受けています。
古くよりイタリアでは『ファミリービジネス』によるブランド運営がポピュラーな風潮があります。グッチ、フェラガモがその代表的なものです。祖父母から孫の代まで受け継がれていく傾向が非常に強いのです。
これはイタリアの文化的なところに起因しているようです。他のどの国民よりもプライベートの時間を大切にし、その上に仕事というものがある、といった考え。一般市民もお昼の休憩は2〜3時間とり、自宅に戻って昼寝をするほどのリラックスぶり。自分の時間を大切にし、愛する人と過ごすことに重きをおいたスタイルだからこそ、仕事もうまく運ぶといったことになるのでしょう。
最先端を走り続けるからこそのプレッシャーも愛の力には勝てないことをプラダ夫婦は『成功』の2文字で世の中に示しています。
貫き通すデザイン理念
ミニマリズムーminimalism 1980年代の米国文学の一傾向。日常生活を抑えた筆致で淡々と描いた短編がおおいことで有名になり浸透した言葉です。これをファッションに置き換えると、『余分な飾りを完全に取ったシンプルな機能に徹したシルエットを特徴としたもの』になります。
このミニマリズムこそがプラダが誕生以来、貫き通しているデザイン哲学です。
コレクションごとにテーマにされる題材も至ってシンプルです。
〝妖精の舞い降りる家〟〝ファンタジー〟〝環境〟〝原点回帰〟など、一語に集約され分かりやすいのも特徴的です。故に消費者の誰もが理解でき、考えさせられるのもまたしかり。一見ただのお遊びに聞こえるようなこのテーマ選びは、実は社会情勢を見事に反映しており、時代にマッチしています。ファッションという媒体を通して、世の中のあらゆることにプラダ的なメッセージを送っているのです。
メッセージの受け取り方は個人により違うことでしょう。また、テーマによって考える点も同じように異なります。しかし、一貫しているのは、根底にあるメッセージは〝愛〟だということ。これはデザイン理念と同じようにプラダが変わらず大切にしていることです。
ミウッチャ•プラダというアイコン
ミウッチャ•プラダほど世界中で愛される女性デザイナーはいないでしょう。
デザイナーとしてはもちろん、時代の最先端をいく一人のアイコンとして常に注目され続けています。〝次は何をしてくれるんだろう?〟—そんな期待のまなざしが彼女に向けられているようです。
年に2度行われるミラノコレクションでのプラダのショーに来る顔ぶれをみても彼女の人気ぶりが伺えます。
映画プラダを着た悪魔のモデルになったといわれる米ヴォーグ編集長のアナ•ウィンター、歌手のカイリー•ミノーグにプリンス、アンナ•ピアッジにステラ•テナント、写真家のマリオ•テスティーノにJay-Z、リアルな日常を超え、ブラウン管の中を見ているような面子がそろって彼女のクリエーションを称えにやってくるのです。
〝美徳〟という言葉があります。ある辞書によるとそれはこういう意味だといいます。『美しい徳行。道徳の基準にあった性質や行為』—ミウッチャ•プラダファッションとは美徳であり生きることを豊かにしてくれるものであること、—そこに生きているだけでそう教えてくれる存在なのです。
